人気ブログランキング | 話題のタグを見る

文庫のお披露目

関東は曇り空ですが、
日曜だし、みんな花見に行ってるんだろうなと思いながら
早朝からガス窯を焚いています。

1100度をこえて安定してきたので、
眠気覚ましにこれを書いているというわけです。
 
一昨日、著者用の文庫の見本が届きました。
形になって、重さを持った本、ってやはりいいです。
ページを開いて鼻を近づけると、
花粉症で狭くなった鼻腔ではありますが
インクのいい匂いが香ってきます。

表紙のイラスト描きました。
「つくる陶磁郎」などに描くときと同じ、
パイロットの極太の万年筆で。
書き味が良くて気に入っていて二代目になります。

黒一色で渡しましたが、デザイン部で色をのせてくれて。
デザインは2案出てきて、希望を聞かれましたが
選択は先方に任せました。
少しでもよく売れるためのノウハウは、
やはり本のプロである編集者にはかなわないでしょうから。

決まらなかったほうにはデザイナーのアイデアと技を感じ
決まったほうは売り場で目立つという狙いを感じました。
どちらも良かったんですけどね。

で、お披露目です。
窯を焚いているので、進行中の焼成グラフをあしらってみたりして・・・。
文庫のお披露目_e0057104_14624.jpg

4月10日発売。
文春文庫のなかの、「文春文庫プラス」というカルチャー系の文庫です。
552円+税、とは安い!

一家に一冊、教室に10冊!ぜひ!

ところで、消費税を足すと579円60銭になるんですな、これが・・・。
580円で売られるとしたら、
40銭はいったいどこにゆくのであろうか。
# by yasuhikohayashi | 2008-03-30 14:22

春の訪れとともに、散歩にスケッチブックが欠かせなくなった。

春のスケッチは白モクレンから始まる。
といったら、キャッチコピーのようです。

スケッチブックを片手に、こちらの庭、あちらの公園と
歩き回っています。

休耕して長年経ってるようすの一角に、
白モクレンの蕾が見えたのが10日ほど前のこと。
工房に通う道から見えるところにあって、気になっていたけど
数日前から、純白の鳥が枝にとまっているような風情で
ポツポツと花を開きはじめた。

歩道から、畑の境界に沿って50メートルほど上ったところにある。
近寄ってみると、なんと美しい。
日の光をやわらかく受けとめて、花びらに閉じ込めたような白。
光を透かした白、花びらの影を映した白・・・。
開花した花もいいが、開きかけのものも優美。
蕾もおもしろい。

スケッチブックを開く。
木の周りを巡りながら、鉛筆を走らす。
すでに若草が茂っていて、踏み出した足元がやわらかい。
と、いきなり天地がぐらり・・・・。
なにが起きたのだ!
片足が草のあいだに膝まで入っている。
あわてて抜いたが、ジャーッという感じでズボンから水が出た。
靴の中は、もちろんズブズブ。
おまけに飛び散った水で、はまらなかった足の太ももまでジュクジュク。

野ツボか!?
おそるおそる水を指につけて嗅いでみたが、アンモニア臭はない。
どうやら、畑の水遣り用に大壷が埋めてあるらしい。

工房のストーブでズボンを乾かしながら
それにしても野ツボでなくて良かったと
つくづく思った春の朝だった。

白モクレンと、ぼっちゃん_e0057104_19465599.jpg

カメラもいちおう持参したので。
なかでも器量よしの白もくれん。
# by yasuhikohayashi | 2008-03-26 19:34

唐津の師匠の個展

昨日、九州時代にお世話になった吉野靖義さんの個展に行った。

以前のものにくらべて、ずいぶん薄作りで軽快な印象だった。
「君が来ていたころとは、アタマの中がまったく変わってるんだよ」

工房で話し込んでいたときの時間がよみがえってくるような
熱のこもった話が続いた。
「あと、3ヶ月くらいで今までやってきたことが完成するんだよ」
吉野さんが目指してきた古唐津の再現が間近のようだ。

使い勝手の良さそうな絵唐津の小皿を3つ頂戴した。
会場に来ていたKさんも誘って、ギャラリー近くの居酒屋へ。
Kさんは某お役所の役人さんで、転勤で向こうに行って
やはり吉野さんの工房で手ほどきを受けた人。

「僕は真面目にロクロを挽いてたけど、
林さんは吉野さんと話してばかりでしたよ」

あらら、ものすごく熱心にやっていたつもりだし、
それをあちこちに書いたりしてたのに・・・・ううむ。
どう考えてもKさんの記憶ちがで、
それは僕じゃないと思うんだけどなぁ・・・・。あはは。

12年前に初めて工房にうかがったころ、
吉野さんは今の僕の歳だったと知る。
立派に見えたなぁ。
そして、なんだかますます元気になってる。
ほんとにちっとも変わってない。

焼酎の芋にしようとしたら、ボトルでしか頼めなくて、
しこたま飲んでしまった。
で、今日は二日酔い気味。

師匠は、ぶじ会場に到着しているだろうか。

吉野靖義 作陶展は、炎色野(ひいろの・渋谷)で3月20日(木)~3月25日(火)
12:30~6:30(最終日~4:00)作家在廊日=20(木)21(金)22(土)
# by yasuhikohayashi | 2008-03-22 13:08

♪ 負けないで もうすこし 
 最後まで走りぬけて
このところZARD(坂井泉水)のCDばかりかけています。
1階の工房のラジカセに一枚。
2階の書斎のラジカセにも一枚。

去年亡くなってからの俄かファン(と言わざるをえないんだなぁ)で
口ずさんでいたら、娘が誕生日プレゼントに
メモリアル・ベストの2枚組みのCDを買ってくれたというわけ。

歌詞はけっして明るいだけではないんだけど
せつない歌にも心栄えを感じるし、
ときどきキラリとした言葉があって、
なにより曲が跳ねていて、気分が良くなります。

じつは・・・。
ずっと前に博多に単身赴任しているときに
いい曲だな、と思って買おうとしたことがあって。
で、CDを買ってきて掛けたら
これが男の声でアレレ?
おい、あのスカッとした彼女はどこいった!?

ZARDと間違えてBOOMを買ってきたんですなぁ。
♪デイゴの花が咲き~
は、好きですけど。

で、しばらくして、また欲しくなってCD屋さんに行ったんだけど
ミュージシャン名で探した棚は・・・・・
B’Z。
手にとって見たものの、なんか違うなと思って棚に戻してから
店の女性をつかまえて「こんな歌なんですけど」といって
歌詞がわからないから「フンフンフン~」と歌った。
彼女は首をひねるばかりで、もうひとりの店員さんを連れてきて
ふたりで聞いてくれたけど、分からずじまい。
それにしても・・・・店頭で歌ったんですよ。僕は。

坂井泉水さんの去年の事故のあと、
ニュース番組でなつかしの曲に再会できたというわけでした。

ザードとブームとビーズ・・・・
まぎらわしいんだよなぁ!

いいタイミングで坂井泉水さん(急に親しげな言葉遣いですが)
のCDに出会っていれば、
CMとのタイアップを仕掛けて、会えたかもしれなかったな
などと思いながら、一日中CDを掛けてます。
# by yasuhikohayashi | 2008-03-05 19:23

今年最初の投稿が2月も下旬ということになってしまいました。

知人が言っていましたが、あいだがあくと
ちゃんとしたことを書かねば、という気になって
ますます書けなくなる・・・・
そのとおり、なのであんまり気張らないで書きます。
で、広告です。

98年に出した「週末陶芸のすすめ」が、文春文庫に入ります。
4月発売の予定。

あらたに、その後の10年のことを書き足したり、
写真部のカメラマンが撮影に工房まで来てくれたり
校正をやったり、という日々を送っていました。

しっかし、文春の校正部おそるべし!
誤字脱字、表記の統一は言うに及ばず、
内容についてのじつに熱心な精査がなされていました。

たとえば・・・・
「ジャン・バルジャンが銀の燭台を盗んだ」、と書いたら
盗んだのは燭台ではなくて「食器」だと指摘が入りました。
学芸会で神父さん役をやったくせに、思い違いをしていました。

15年ほど前に東京国立博物館で開かれた展覧会を
「中国陶磁3千年展」と書いたら
きちんと正しく「特別展 中国の陶磁」と直してあったり。

そのほか、前とつじつまが合わないとかの指摘もたくさん。
そのときはそう思ったんだよ、しるか!
と、ののしりながらもせっせと直していたら
ずいぶん時間がかかってしまった。

単行本を文庫にする作業は、スキャナーの読み取り機能で
チャッチャとやるのかと思っていたら大違いでした。

巻末に挙げた参考図書も、ぜんぶ調べなおして、間違いを正してありました。
たしか4人がかりでやると聞いたときには
ワープロを打つのに4人も???
と思ったけど、ここまで徹底して読み込み、調べなおす作業だったとは。

むむむ・・・恐るべし!

口絵もあらたに10枚ほど書きました。
そして昨日、出版社に2度目の校正原稿といっしょに送って。
これで僕の手を離れました。
ふう。

さて、文庫には予想外の帯が付きそうです。
かなり真面目な入門書を思わせるフレーズです。
コピーを考えた編集者が電話でこう言いました。
「まぁ、羊頭狗肉ではあるんですけど・・・・」
「あはは、そうですねぇ・・・・」

こんど会ったときに、言葉の使い方を教えてさしあげようかと
思っています。
# by yasuhikohayashi | 2008-02-28 18:13