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伝統って何?個性って何?

「伝統は戴くものではなくて、踏まえるもの」と先日書いて、
なんだか自分でも、ちょっと気に入りました。
そのあと反芻しています。「伝統って何?」

「踏まえる」ということから連想したのは1本の若木。
若木が踏まえているのは、養分をふんだんに含んだ土。
その養分は、以前その地に生えていた木々の葉や、幹が朽ちたもの。

若木はそれを踏まえて、根から自分に必要な養分を吸い上げて育つ。

なんだ、伝統って、先人が残してくれた「肥やし」のことじゃないか、
と気がついた。
いくら大木でも、そのままでは肥やしにはならない。
原型をとどめないくらい朽ちてくれないと、養分をもらえない。
ヤドリギでもないかぎり消化不良を起こしてしまう。
ヤドリギは、宿り主よりずっと小さい。うん、これはなかなか象徴的。
接木(つぎき)は?うん、これもますます象徴的だ。
ヤドリギも接木も、伝統を踏まえないで、戴いてるんじゃないかな。
伝統の七光・・・・。

釉薬を作るときには植物の灰を使う。
灰は植物ごとに成分比が違う。
松の灰には鉄分がたっぷりで、
ワラや竹には珪酸分が多い。
鉄分も珪酸分も、すべて地面から吸い上げたものだ。
植物ごとに地面からもらうものに違いがあるのが面白い。
たとえ鉄分が少ない土地でも、松はほかの木よりも多くの鉄分を吸い上げる。
珪酸の少ない土地でも、竹は珪酸分を好んで吸収する。

足元にある肥えた土から、おそらく無意識のうちに何かをもらう。
おなじ土地に生えても、松は松になるし竹は竹になる。
なるほど、それが個性というものではないだろうか。

個性的な人は個性的な服なんか着ない、と誰かが言ってたっけ。


と、なんだか理屈っぽいことを書いてしまいました。
今日は、早朝から電気の窯とガスの窯の両方を焚いています。
今週末には都内・代官山のギャラリー「器(うつわ)る・くーる」さんの展覧会用に
搬入しなくてはならず、ものすごく慌てているところです。

8月にのんびりしたのがいけなかった。
夏休みギリギリまで遊んで、必死に宿題やって、それでも間に合わなくて
「できてるんですけど、持ってくるの忘れました」
と、始業式の日に言い訳していたのを思い出します。
性格は変わらないものですね。
by yasuhikohayashi | 2005-09-06 11:15