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女性は「生む機械」?

松江の後援会での講演で出たという、柳沢厚労相の発言の報道には
あきれました。

少子化対策に言及する中で「15から50歳の女性の数は決まっている。生む機械、装置の数は決まっているから、機械と言うのは何だけど、あとは一人頭で頑張ってもらうしかないと ...」

とんでもないことを言うもんだなと驚きましたが、
工房へ通う道を歩いていて、あることに気がついて笑ってしまった。

学者はよく「装置」という言い方をします。
「安定した社会を維持するための装置としての婚姻制度」とか
「社会発展の装置としての義務教育」とか。
「生涯教育の装置としての公共図書館」・・・とか。

おそらく大臣は、少子化対策の審議会かなにかで、学者の話した内容を学習されたのでしょう。
不幸なのは、「装置」を「機械」というイメージで受け取ってしまったこと・・・。

「装置」という言葉は、おそらく「device」の日本語訳。
ためしにネットで、「子供を生む装置としての女性」を英訳してみたら
「woman as device that brings children into the wold」。
「子供を生む機械としての女性」は、
「woman as machine that brings children into the wold」。

「device」を辞書で調べたら、「装置、考案物、からくり、くふう、方策、知恵」
とありました。
ハードウエア+ソフトウエアという概念らしく、けっこう人間的な意味も含まれているんですね。
学者が「device」を「装置」と訳してしまったことに、今回の「失言」の遠因がありそうです。

「装置」という言葉を政治家が聞いたら、「機械」をイメージして覚えてしまうのも
ムリがないかも。
彼は学習したことを、イイカッコして話そうとして言い間違えちゃっただけなんじゃないか。
思わず本音が出たというのとは違うような気がしています。
学者はふつうの言葉で政治家にレクチャーしてあげなよ。
てなことを、昨日はブツブツ言ってました。
「device」について詳しい方がいたら教えてください。

「美術工芸品を社会に提供する『装置』としての陶芸家」
と言えば論文のタイトルになりそう。
「美術工芸品を生む機械」と言われたら、なんだか「人間ロクロ」みたいで
そりゃ、陶芸家も怒るよなぁ。
by yasuhikohayashi | 2007-01-30 10:36