オ-ストラリア・ブリスベン市に渡った作品

先月のことになりますが、習志野市役所から頼まれて、記念品の皿を制作した。
ラムサール条約つながりの交流会で訪問するオーストラリア・ブリスベン市からの賓客に
記念品を渡したいが、可能かどうかの打診が電話であった。
ちょうど、郷里である倉敷に向かうために駅に急いでいた道でのこと。
詳しいことはメールをいただきたいと言うと、丁寧なメッセージが届いた。

倉敷から帰った翌日に工房で市の担当者とお会いした。
ネックは制作日数だった。14日しかない。
デザインは倉敷の実家で考えた。
ラムサール条約(水鳥湿地保全条約)に登録されている、習志野市の谷津干潟。
湿地つながりで姉妹都市になったブリスベンからの賓客なら、干潟や水辺を感じさせるものは作れないか。
織部皿の中央に緑釉を溜めて深みとして、その周囲には水辺のきらめきを表現したらどうか。
記念品だから、器というより少し非日常的な雰囲気も出したいから、4本脚を付けよう。
そんなふうに考えた。
しかし、いかんせん時間がない。

打ち合わせは金曜だったが、「その線で上司と相談させてください」とのこと。
そのあと電話をもらい、上司はもう帰宅したので、休み明けの月曜に話します、とのこと。
2日が空転する!

翌日の土曜日、朝から作業を始めた。
月曜日に断られても、自分の作品にすればいいのだ。

月曜日に電話をもらった。
「大丈夫です、お願いしたとおりで進めてください」
僕は、待ってましたとばかり言った。
「もう、できてます!」
もちろん焼きあがってはいない。土日で、いわゆる成形を終わって、乾燥の工程に入ったところだ。
賓客3名に3個必要なのだが、傷などできてはまずいので8個作った。

そこからは、あまり試したことのない裏技を駆使して時間を稼いだ。
まだ乾きかけの作品を電気炉に入れ、150度まで1時間で温度を上げて、そのまま5時間150度をキープ。
温度が下がってからこわごわフタを開けてみると、見事に完全乾燥。
そのまま、800度に温度を上げて素焼きが完了した。
そのあと4個に織部釉を掛けて本焼き。
金曜日に打ち合わせをして、翌週の金曜には焼きあがって窯から出した。
なんと正味、一週間で4個が仕上がった。

10日後には、8個全部が焼きあがった。
約束の期限を待たずに作品を渡すことができた。
市長から記念品を受け取った3名の賓客は、たいそう喜んでくれたと、後日、職員からうかがった。

ラムサール条約が縁で、ブリスベン市に鳥のように渡って行った作品は
いまごろ、向こうの生活に溶け込んでいるだろうか。

作品名「Waterside Impression ・水辺の印象」
  横29.0㎝ 縦19.5㎝ 高7.5㎝

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by yasuhikohayashi | 2017-10-07 18:12

日々、気がついたことのあれこれを書きます。


by 林 寧彦(やすひこ)
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